2025年3月3日に食べログを運営するカカクコム社から発表された、「食べログピザ百名店2025」。
“日本一のピザ”として知られる岡山の「400℃ PIZZA」の東京進出店として昨2024年に大きな話題を集めた「400℃ PIZZA TOKYO」はじめ新進気鋭店が順当に初選出されている印象を著者は受けた。
その中で本日ご紹介するのは神楽坂の
「CRAZY PIZZA SQUARE(クレイジーピザスクエア)」。


「CRAZY PIZZA SQUARE」は、京王線の国領のミシュランビブグルマンのイタリアン「DonBravo(ドンブラボー)」の姉妹店として2022年にオープン。
著者は“国領の奇跡”と呼ばれる「DonBravo」に一度だけ訪問済だが、蒸留酒からワインまで幅広いアルコール類を創作性溢れるイタリアンに合わせるペアリング能力が天才的で感動した記憶がある。

「CRAZY PIZZA SQUARE」の場所は神楽坂駅から早稲田方面に徒歩5分ほど。
ガラス張りの開放感ある外観に温かみのある木材を組み合わせた明るく落ち着いた店内。
実はあの隈研吾氏の子息である隈太一氏の設計らしく木材を多用しているのも納得だ。
「CRAZY PIZZA SQUARE」で注文したもの
・(土日祝)ランチセット ¥2750
・マヨコーン(ハーフ) ¥500
・サバみりん(ハーフ) ¥400
・クラフトビール ¥1500

前菜

前菜はロトリーノのカポナータの2種。

イタリア語で「ロールする、巻く」の意味する“ロト”を冠するロトリーノ。
幅広のサラミにマスカルポーネチーズ、小さなダイス状の林檎が巻かれています。
サラミの塩気&辛味をマスカルポーネのまろやかさとバルサミコソースの甘味酸味がぶつかって中和しつつ、林檎のシャリシャリ感がアクセントに。これは面白い組み合わせです。

具はナスとズッキーニの。トマトソースの甘味酸味感に、ホールのクミンのスパイス感がほどよい刺激になっている。
クミンを使ったカポナータって非常に珍しい気がする。ナスのトロトロした果肉感も秀逸だ。
ハーフ&ハーフピッツァ(マヨコーン&サバみりん)

ピッツァはものによってコース料金にオプションを課金する事で好きな組み合わせでハーフ&ハーフにできる。
少々値が張る組み合わせだがマヨコーン&サバみりんにしてみた。

塩と小麦粉で作られる一般的なナポリピッツァの生地と異なり、「CRAZY PIZZA SQUARE」では全粒粉と玉ねぎ水、ホエー(乳清)を使っている。
店の方から「塩味(えんみ)を抑えた穏やかな生地質」を目指しているとの説明あり。
画像の通り生地は全体的に薄くコルニチョーネ(耳)の部分の立ち上がりも控えめ。
ふっくら感よりも、パリッとしたビスコッティ寄りのクリスピーな食感にステータスを振り切っているように感じた。
全粒粉を使っているためか一般的なナポリピッツァと異なりグルテン生成がなく粘りやモッチリ感が抑えられているようだ。
好きな人にはとことんハマる、かなり特徴のある生地質に思えた。


人気№2メニューとされる「マヨコーン」は
マヨネーズ・焼肉ソース・コーン・サルシッチャ・山椒入り。
マヨネーズをピザ窯で焼いたためか、マヨネーズから分離した油がピッツァ表面ににじみ出しており少々オイリーな指先の触感。
まったり濃厚でジャンク感満載なマヨネーズに、焼肉ソースの甘辛味、サルシッチャの辛味…そして時折、山椒のピリリ感。少し背徳感ある組み合わせにシャキシャキしたコーンの甘味と食感も楽しい。
「マヨコーン」といえば、ガストやサイゼリヤなどファミレスチェーンでは、子供から不動の人気メニューだ。
だがこの店では“大人がワインと合わせて美味しいマヨコーン”に魔改造されている印象を受ける。
この辺りはDonBravoイズムを引き継いだアルコール類とのペアリングの巧さを感じた。


独創的な和の食材を使った限定メニューの「サバみりん」。
具材はサバの干物・菜の花・スモークチーズ・ニンニク・みりん。
なんでも店のスタッフが神奈川県の真鶴町に旅行をした際に現地の干物に感銘を受ける。
その後、偶然お客さんのツテで現地の干物業者と繋がりメニュー化したのだとか。
たっぷりの干物からは濃縮還元したような、密度感あるサバのうま味と塩気感じる。
これにニンニクの辛味成分、スモークチーズの燻製感が加わるも、菜の花の葉物特有の仄かなと苦味とみりんが中和し全体が調和している。
こちらも“お酒とのペアリング”を意識した、上物の具材だけで酒に合う構成だ。
ドルチェ

イタリア北西部のピエモンテ州のデザート「ラッテ・イン・ピエーティ」をCRAZY PIZZA SQUARE風の解釈を加えたオリジナル・ドルチェ。
パンナコッタ風の牛乳ベースの滑らかな生地にサクサクとしたパイ生地のチップを合わせている。
内側には愛媛産のミカンが仕込まれており乳製品のまろやかさと柑橘類の爽快感のマリアージュ。
あとがき
以上、「CRAZY PIZZA SQUARE」でした!
忖度抜きに語るとアルコール類が少し割高で、好きなピッツァを食べようとすると、少々課金が必要になる部分がある一方、予想もつかない視野外の食材や料理とアルコールを組み合わせた「DonBravo」イズムのペアリングの巧さも感じられる店。
5月初旬のちょうど良い気候もあり、隈太一氏設計の大きな窓から吹き込む爽やかな風を感じながらクラフトビール&ピッツァの良いランチでした。
ぜひお試しを
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