「セコムしてますか?」
野球界のミスターが現役時代に通っていたのが高田馬場の「餃子荘ムロ」
食べログの餃子百名店にも2度選出された事がある有名店だ。

創業は1954年(昭和29)と古く趣きのある昭和レトロな外観。
実は「ワカコ酒」にも登場し武田梨奈が「ぷしゅ~」した他、
「とんねるずのみなさんおかげでした」の「きたなシュラン」(現・きたなトラン)にも出演歴あり。
石橋貴明や長澤まさみ、榮倉奈々らのサインも飾られていました。
「餃子荘ムロ」で注文したもの
■ 餃子(ふつう) …¥700
■ 餃子(ラーチャン)…¥800
■ バクト …¥650
■ チャップスイ …¥750
■ ビール …¥500
■ ハイボール …¥500
■ 五加皮酒 …¥550

「ネギ味噌」がお通し兼、餃子の薬味
餃子(ふつう、ラーチャン)

餃子は小ぶりでやや薄目の皮に包まれています。

餡がきめ細やかで粒度の細かい野菜の繊維質の「シャリシャリ」とした繊細な舌ざわり。
「ふつう」の肉は熟成感のある風味豊かでまろやかな味わい。

「ラーチャン」の方は台湾ソーセージ(香腸)入り。ほんのり甘く微量の八角の風味がして美味。
酢で美味しくいただいた。
バクト

豚のガツ(胃袋)の煮込み。店主に尋ねると漢字で「爆肚」らしい。
実際に北京料理に「爆肚」という清真料理ルーツの内臓料理が存在するので、そこから流れているのかなと推察。

脂身がなくガツ・オンリー。コリコリした食感から鮮度の良さを感じさせる。
味噌仕立てになっておりアテとして優秀でした。
チャップスイ

「ムロ」にはおもしろい料理があるので是非注文してみて欲しい。
チャプスイ、漢字で書くと「雑砕」で元々は広東料理(粤菜)であるが、
海を渡りアメリカ中華の一部になった料理である。
“雜”の字には「雑多なものが混じっている」という意味であり、
実は韓国料理の「チャプチェ(雑菜)」の“雜”の字も同義である。
19世紀後半に入り、漢人が出稼ぎ労働者・苦力(クーリー)としてアメリカに渡ると、中国系アメリカ人として現地に定住し飲食店を開業した彼らがチャプスイを提供するように。
そんなチャプスイだが1896年の李鴻章のアメリカ表敬訪問をきっかけに「アメリカ中華の典型」となる転機が訪れる。
訪米は日清戦争翌年であり対米関係の改善や中国系アメリカ人への「排華法」制定の抗議が目的であった。
この際に李鴻章一行が現地で発明したのがチャプスイである、という都市伝説がまことしやかに広まり、
また当の中国系アメリカ人の飲食店もこの噂を否定しないどころか利用し「李鴻章雑砕」「General Li Chop suey(李将軍のチャプスイ)」などと売り出すように。
「チャプスイ」はアメリカ人好みに味を変えながら、1900~1960年代のアメリカにおける中国料理の代名詞に。
当時の中国料理店は「チャプスイハウス」「チャプスイレストラン」「雑砕館」とも呼ばれた。
余談だが似たようなルーツをもつアメリカ中華に清末の軍人・政治家である左宗棠の名前を勝手に借りた、
「左宗棠鶏(Orange Chicken)」がある。
面白いことに戦前の日本ではチャプスイが「モダンなアメリカ式中国料理」として認識され、
古くは1920年代より「銀座アスター」や京都の「ハマムラ」などがメニューとして取り入れている。
元々は広東料理でありながら李鴻章の名前と結びつけられ、アメリカ中華の代表となり
さらに日本に渡ってきた「チャプスイ」。この「餃子荘ムロ」のような老舗中華に残っているのは驚くと共にロマンを感じてしまう。

前置きが長くなったが「ムロ」のチャプスイは甘酢仕立て。
甘味酸味の中にほんのり五香粉の中華スパイスのフレーバーが楽しい。
椎茸がかなり大きく濃厚な味がするのが印象的である。
五加皮酒(ウーカピージウ)

五加皮をコーリャン酒などに漬けた大陸でもメジャーな薬酒。
明の時代に著された中国史を代表する本草書『本草綱目』には、「五加皮は滋養強壮や若さを保つ」効果があるらしいですね。
…中国酒につきかなり度数強いです。唇がアルコール分で少しヒリヒリする感じ。
薬膳と柑橘類の爽やかさを足して割ったような味わいが広がります。
あとがき
以上、高田馬場にムロ強し(酒)あり。
独特な老舗の餃子やチャプスイのようなマニアックなアメリカ中華と相変わらず面白い店でした。
ぜひお試しあれ
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