全国のピザファンのみなさまに大ニュース!
千葉の稲毛の有名店『ペルテ(Perte unicasede)』が約1年間の休業期間を経て2025年5月、東京は赤坂にて『PER TE』としてリニューアルオープン!
既に都内の目ざといグルメファンの間で早くも大きな話題となっています。
オーナーの鈴川充高氏は『ピッツェリア パルテノペ 広尾店』で研鑽を積みイスキア島の『ダ・ガエターノ』での武者修行も経験。茨城のつくばの名店『トラットリア エ ピッツェリア アミーチ』を共同で立ち上げ、同店を「真のナポリピッツァ協会」認定店に押し上げる。2018年ののナポリピッツァ職人世界選手権「カプートカップ」の日本大会では日本一となった折り紙つきの実力者。
なお『パルテノペ』の広尾店は既に閉店しているものの、恵比寿店は以前紹介しているのでぜひ参照いただきたい。

翌2019年に独立して千葉の稲毛に『ペルテ』をオープン。2022年には仏・グルメガイド「ゴ・エ・ミヨ」でポップ部門に選出される。
さて休業期間中も自己研鑽に余念がない鈴川氏はスペインで熾火(おきび)料理を習得。『ペルテ』改め『PER TE』ではピザ窯と熾火、2つの窯を駆使した“二刀流”の料理が楽しめる。
『PER TE』で注文したもの
・おまかせコース ¥19800
・Far Yeast TRIGGER WEST COAST PILSNER
・Vernaccia di San Gimignano – Vigna ai Sassi Riserva 2022
・Montecucco Rosso della Porticcia 2020
予約枠17時半と20時半の二部制から成るOMAKASE経由での完全事前予約制。以前はアラカルトもあったようですが現在はコース料理1本になっているようです(2025年7月上旬時点)。



コッパ


プチシュー風の生地に豚肩ロースの生ハム「コッパ」を乗せた一品。内側にはひよこ豆のペーストが挟まれており、マッシュポテトに似たマッタリとした舌ざわり。
コッパの柔らかな塩気とシャクシャクとした生地の食感につい目を細めてしまう。
マルゲリータ500


ペルテ時代からの看板メニュー「マルゲリータ500」。
フルサイズのピッツァが一人1枚ではなく、同じ時間帯のお客さん同士で一人2切れずつ切り分けて提供される。

断面を眺めるとトラス構造のような小麦の繊維によって立体的に立ち上がるコルニチョーネ(耳)。噛み締めると最初にミネラルを含む柔らかな塩気を感じ、さっくりと軽やかな外皮続いてむっちりとした弾力感。特にピッツァの中心部は絹のようにシルキーでとろける食感で驚愕。
個人的には生地の食感だけで満点をあげたくなるような驚きの感覚に見舞われた。


トマトソースは瑞々しさをたっぷり残した果汁滴るジューシーさと酸味感の少ないマイルドな味わいを兼ね備える。
斑状のモッツァレラチーズは凝固したソリッドな箇所と、完全にとろけた箇所の抑揚が効いててお見事。バジリコもものが新鮮なのかフレッシュで芳醇な香りがして素晴らしいアクセントになっていました。
パッパ アル ポモドーロ


トスカーナ地方の伝統的家庭料理。時間が経って固くなってしまったパンをトマトで煮込んで柔らかく食べれるようにした所謂“残り物料理”が原型である。これに熾火のボタンエビとパプリカを加える事でPERTE流に昇華させている。
トマトがよく染みたしっとりとウェッティな生地はニンニクが効かせてありオリーブオイルのコク味と酸味との組み合わせが秀逸。熾火によってホクホクとした食感のパプリカも、芯まで火が通ったボタンエビもぷりんとした弾力感と海老本来の甘味が活きており絶品だ。
トロンペッタ

トロンペッタとはイタリア北西部リグーリア州原産のズッキーニの一種。画像の通り成長すると湾曲した形がトランペットに似ているためイタリア語でトランペットを意味する「トロンペッタ」と名付けられた。
この日は空輸されてきたヴェネト州産のものを熾火にしていただいた。

焼いたナスのようなホクホクとした食感と内側の果肉感。燻製に似たスモーキーな香りも楽しい。

チーズリゾットに削ったパルミジャーノチーズをかけてある。リゾットの米は芯がほんのり残った絶妙なアルデンテな固さ。チーズはブルーチーズも使われているようで濃厚。あの独特のクセ感ある風味が中毒になりそうだ。
メカジキ


小笠原産メカジキの熾火。品のよい淡泊な味わいながら肉汁感のあるジューシーな味わい。
脇にはオクラ、ズッキーニ、ナス、トマトの夏野菜のマリネ。さっぱりとした清涼感ある酢の酸味感とも好相性。おかひじきもシャキシャキとしてて美味だ。
マストゥニコーラ

世界最古のピッツァと言われる「マストゥニコーラ」。
ナポリピッツァの代表格であるマルゲリータの登場は、アメリカ新大陸が発見されハプスブルク家のスペイン王国経由でナポリにトマトが伝わり「イタリア料理がトマトの赤色に染められた」後の話。それより遥か以前から存在していたのがこの「マストゥニコーラ」です。

最初の「マルゲリータ500」とは明らかに焼き方を変えており、こちらはザクザクとクランチーな食感が前面に出ている。
羊の乳を原料としたペコリーノ・ロマーノチーズとバジリコだけという超シンプルな構成ゆえに具材の良さにフォーカスがいく。ココナッツを思わせる淡い甘味と力強いキリリとした塩気、羊乳ならではの野性味ある風味もまた面白い。メイラード反応を起こしてほんのり焦げ目のついたチーズも香り高く最高です。
ハラミ

ハラミ肉をイタリアのステーキ「ビステッカ」に。塩胡椒とシナモンで味付けしています。

赤身肉の濃ゆい風味と犬歯でスルッと切れる柔らかさ。シナモンのフッと甘い風味が鼻孔をくすぐる。


副菜はラディッシュとザワークラウト、カネデルリ。
燻したラディッシュはスモーキーな香りが強い。ザワークラウトは酢の酸味感とクミンのスパイス感、キャベツの甘味の複雑性のある味わいが魅力的。
カネデルリは生ハムとチーズを練りこんだ北イタリアのパスタで
燻したラディッシュはスモーキーな香りが強い。ザワークラウトは酢の酸味感とクミンのスパイス感、キャベツの甘味の複雑性のある味わいが魅力的。 カネデルリは生ハムとチーズを練りこんだ北イタリアのパスタで、ドイツやオーストリアでは「クネーデル」なんて呼ばれるらしい。ホクホクとしたジャガイモのような独特の食感が面白い。
マリナーラ

シラスを乗せたマリナーラに「チチニチエッリ」がありますが、一般的なチチニチエッリとは異なりトマトソースには黄色トマトが使われています。
黄色の背景にカットしたトマトの深紅、シラスの白色のコントラストが映えますね!

生地質は最初の「マリナーラ500」に近いかややドライ寄り。こちらも大変に美味しいです。


何よりレベチだったのは愛知県産のシラス。画像の通り丸々とよく肥えており、一匹一匹の味わいが非常に濃い。
個人的にシラスでここまで感動したのは人生初めてかもしれません。カットしたトマトとシラスに内在する塩気のバランス感も非常に秀逸でした。
ガエターノ


「これでもか」と大量のパルミジャーノチーズをふりかけた贅沢なピッツァ。チーズの下にはルッコラとモルタデッラが隠れている。

なんとルッコラは野生で群生していたものを使用。一般的なルッコラよりも葉物野菜特有のビター感が強めの「大人な味わい」。
薄切りのモルタデッラはしっとりと柔らかく穏やかな塩気と優しい脂の甘味が調和。チーズやモルタデッラの塩気に対してルッコラの苦味が引き算のように作用。緻密な「味の計算」が施された逸品。
タリアテッレ


神奈川・平塚産のポモドーロを使ったトマトソース。赤色というより深紅に近い深みのある色合いだ。
ソースはザラザラとしたトマトの繊維質を活かした舌ざわりで、酸味よりもトマトのうま味の方がやや優勢に感じる。幅広のタリアテッレがソースをしっかりと受け止め、もっちりとした食感を発揮。
余計な調味料の味付けがないゆえにトマトの風味とパスタの小麦粉の香りが引き立つ。
ドルチェ&カフェ


・ジェラート
・12世紀のパンナコッタ
・焼き菓子2種


「ジェラートが面白いので召し上がってみてください」と店の方が不敵な笑みで説明をしてくれる。
なんとこのジェラート、発酵したパンから作られており砂糖が使われていないそう。精糖した糖のストレートな甘さではなく、小麦由来の柔和な甘さが引き立つ。こういうジェラートは寡聞にして見たことがない。


12世紀当時のレシピを元に再現したクラシカルなパンナコッタ。固めで高密度のみっちりとした生地で濃厚な玉子の風味がします。
対するカラメルソースは甘すぎずカフェインのようなビター感を内包している。濃い玉子にこのソースを合わせるセンスには脱帽!




焼き菓子とコーヒーでクールダウン。まさに完全無欠、あまりに楽しく気が付けば3時間ほどの会食がジェットコースターのようにあっという間に過ぎていました。
あとがき
以上、2025年のピザ界大注目の店『PER TE』を体感してきました!ちなみに参考までにコースとドリンク込みで一人あたり27,000円程度。
著者は稲毛時代は未訪問なので正確なところは分かりませんが、東京の赤坂の一等地に移転するとともに料金も場所に見合うものに当然値上げはしているようです。しかしながら新たに熾火焼き料理のエッセンスが加わる事で価格に対してのクオリティもしっかり底上げして、ハイクラスな店としての説得力と質の高さも約束された一食かと思います。
しばらくすると予約が取れなくなる可能性も出てきそうだ。特別な会食などに是非お試しいただきたいです。
メニュー表のギャラリー




お店の基本情報
⏰ 営業時間・定休日
- 17時半と20時半の二部制、コース料理のみ
- 定休日:日曜・月曜、夏季・年末年始など不定休あり
※改定の可能性があり、公式情報参照を推奨。
🚉 アクセス方法
- 東京メトロ南北線・銀座線「溜池山王駅」徒歩約3分(約220 m)
お店の行き方
溜池山王駅の10番出口より下車し、赤坂二丁目交番前交差点方面へ。所要時間は徒歩約3分程度。
赤坂駅からも徒歩圏内です。