旧古河庭園のある東京都北区西ヶ原。
西ヶ原駅は1日の乗降客数が平均8735人で、
「都内で最も利用者数が少ない駅」の静かな街として知られています。
西ケ原駅について
乗降人員(2023年度一日平均)
8,735人(130位/130駅)
東京メトロ公式HPよりhttps://www.tokyometro.jp/station/nishigahara/index.html
そんな西ヶ原に2024年9月にオープンしたのが
「PIZZERIA SATO 駒込ピザ食堂」。

“鰻の寝床”のようなタイニーで細長い店内に
カウンター席がわずか6席。
しかし店主と客との距離感が近いがゆえ、カウンター越しに自然発生的に会話も弾む。
笑顔の絶えない佐藤店主の明るいキャラクターも相まって楽しい時間を過ごす事ができました。
「PIZZERIA SATO 駒込ピザ食堂」で注文したもの
・カポナータ ¥900
・ポルケッタリモーネ ¥2000
・プリチェンヘル ¥900

カポナータ

トマト・パプリカ・ナスのカポナータ。

カポナータ自体はシチリア発祥の料理だが、
「PIZZERIA SATO」のものはトマトのフルーティな甘味・酸味をベースに、オリーブオイルのマッタリ感とコクが補完している。
各食材と調味料のバランス感のよい一品。
ポルケッタリモーネ

「PIZZERIA SATO」のオリジナリティを加えたピッツァ。
具の構成は、
ハーブロースポーク・自家製塩レモン・ミニトマト・モッツァレラチーズ。

その特長はユニークなピザ生地。
大きく膨らんだコルチョーネ(耳)。
まるで表面はカリッとパイ生地みたいなクリスピーな食感。それでいて内側には5mmほどの大きめの気泡が入っておりふっくら感も表現されている。
これは伝統的なナポリピッツァと異なる
「ピッツァ・コンテンポラネア」をモチーフにしているらしい。
イタリア語で“現代的な”を意味するコンテンポラネアは、その名の通り近年ナポリで流行っているピッツァで大きなコルチョーネとやや小ぶりなサイズ感が特徴なのだとか。

生地表面はほんのりと打ち粉がついており、
ひかえめな塩味(えんみ)が香りともなう小麦そのものの風味を引き立てる。
それにしても何故こういう王道のナポリピッツァとは異なるユニークなピッツァを焼こうと思ったのだろうか?素朴な疑問をぶつけてみた。
佐藤店主
「店の物件が狭く薪窯が入らなかったため電気窯を使わざるを得なかった。」
ピッツェリアにとって窯は命。
だが薪窯が使えない状況下でも佐藤店主はあくまで前向きだ。
「…でも、与えられた環境でピッツァを焼くのがピッツァイオーロ(ピザ職人)の役割。だったら電気窯でしか出来ないスタイルで焼こうと考えるようになった。」
「(著者に生地を示しながら)こういう冷蔵したピザ生地を使うのも正式なナポリピッツァでは本来ありえない焼き方なんです。」

トラディショナルなナポリピッツァのスタイルに囚われない、チャレンジングな店主の姿勢が感じてとれる。
ほどよく脂肪分のあるポークローストのうま味、
瑞々しくリッチなクリーム感のあるモッツァレラ、乾燥したハーブの薬膳感。
何よりざく切りにした塩レモンが放つ
柑橘類特有の爽やかな清涼感と甘さ、しょっぱさの味の複雑性が魂をゆさぶる。
あとがき
都内で最も静かな地下鉄駅・西ヶ原には
薪窯が使えない逆風にめげず、創意工夫で斬新なピッツァを焼く「PIZZERIA SATO」がありました。
はたまた先日投稿した「パルテノペ」のように、
真のナポリピッツァ協会加盟店らしい正統派なナポリピッツァの店もあれば、「デビルクラフト神田」のようなアメリカンピザの店もあり。
「生地に具をのせるだけ」というシンプルさゆえに多様なピッツァが世に存在するのがこの料理の面白さだと思います。
ぜひお試しを。